被害届を出しました。正確には、被害に遭ったことを、交番に申し出た。犯行現場の近くの交番だったので、警官と現場にも行った。カートを置いた場所に、SunHeroを立たせて写真を撮った。トイレと通路の位置関係が分かる写真も、数枚撮っていた。

通路には防犯カメラが設置されているので、閉店時間までの5分間、SunHeroの後に誰が通ったのか分かるはず。レジ袋にはレシートも入れてしまったが、店側の売り上げデータで、品目・価格は分かるはず。

スマホのタッチ決済で支払ったので、決済金額と日時は分かるから、店側のデータを調べる手間は大幅に短縮されるはず。SunHeroの買い物かどうか、金額と日時だけでは弱いというなら、ポイントカードの会員番号とか決済情報とか、確証を得る情報はまだまだあるはず。

偶然あの日対応してくれた年配社員が現れた。SunHeroが真っ先に挨拶すると、事情を察して、警官に何か話していた。ビデオに犯人がバッチリ写っているらしい。改めて映像を確認したが、いつが都合がいいか?みたいなやりとりも漏れ聞こえた。

交番へ戻ってから、犯行場所の確認、犯行時間の確定、犯行の状況、被害品の明細・・・・最初に話したこととチョットでも食い違っていると、話を遮って確認された。被害品は店側の情報で明細が分かると主張したら、思い出せる範囲で列挙しろと言う。

聞き取った内容をプリントアウトして、間違いが無いか一緒にチェック。誤字があったり、被害品のカテゴリーに雑貨が含まれていなかったり、被害品目にはカロリーメイトがなかったが無視されたり・・・・最終稿に署名・指印で、届け出は終わった。

気持ちが落ち込んでいるというよりは、ムシャクシャした気分を反映してか、胃がムカムカして食事を抜いてしまった。空腹は感じなかったが、まめに水やお茶、時には炭酸飲料を飲んだ。

夜になって、警察から電話が来た。表示された電話番号の下4桁が0110の場合、警察署の代表番号だからだ。置き引き犯が職質で掴まったという。被害品の内容が犯人とSunHeroで異なっているので、確認に来てほしいという。

半分冗談で今から行きましょうか?と申し出たら、それは大変助かるということで、すぐ警察署へ出向いた。深夜近い警察署の中は、眩しいくらいに明るかったが、BGMも無い静寂が漂っていた。

広いフロアには、警官が1人。置き引きの件で電話をもらったので来たと伝えた。しばらく待っていると、上下黒で決めた警官が現れて、ロビー脇の部屋へ案内された。

正式な被害届を出すかどうか?出すとどんな手続きが待っているか?出すためには、詳細な被害明細が必要だが、押収品がSunHeroの申告内容と違う。警察側が確認した被害品を写真で確認してほしい。

目の前に沢山の写真が、二山に分けて置かれた。食料品と雑貨という分類だった。どちらの山も、一番上の写真に押収品が全部写っていた。他の写真は、商品の個別写真で裏表各一枚とか、商品表示部分の拡大写真とか。

被害内容は店側のデータで正確に分かるのでは?弁当や惣菜類は食べてしまったとしても、容器が残っていないのか?ビニール包装された商品に貼付してあったラベルは、ゴミ箱にでも捨てられていなかったのか?令状が無いと、これ以上は調べられない。そう言われれば、ぐうの音のも出ない。

被害届を出すのに、被害者の記憶が頼りで、店側の情報や犯人宅の捜査は、その裏取りのため。レシートも一緒に袋に入れてしまったので、申告のしようが無いというわけだ。

仮に被害届が作成できても、送検後不起訴になる場合もある。起訴された場合は刑事裁判で、被害者として法廷で証言を求められる。そこまでして犯人を罰したいのか?

7千円程度の置き引きで裁判!警察が提示してきた一番簡単な方法は、被害相当金額を弁済してもらい、被害届を取り下げるというものだった。取り下げるというよりは、そもそも提出しないことになる。

別室にいる犯人の家族は、既に7千円を用意してきているらしい。精神的なショックとか、2日分のおかずに苦労したことまで考慮すれば、1万円もらっても足りないくらいだ。

いわゆる慰謝料(?)が取りたければ、民事で裁判を起こすことだ。裁判に勝つには、刑事で有罪になっている方が有利だ。でも、それはまた別の苦痛を生むことになる。

結局、実害金額+αを受け取って、警察署を後にした。帰宅したら、日付が変わっていた。

これにて一件落着!・・・・何かモヤモヤしたものが体の中にあるような、釈然と気持ちのまま朝を迎えた。