初掲載日=2000年5月18日

先頃なんと20年ぶりのニュー・アルバムをリリースした、Steely Danの3度目の来日コンサートに行って来ました。 (5/14 18:00~ 東京国際フォーラム ホールA)

4月のSantanaに続いて、この人たちもここからWorld Tour(?)がスタートしました。 つまり、初日だったので、それなりの不満はあった訳ですが、概ね「よかった」といったところでした。

今回は、過去2回の来日公演の中庸を行く内容でした。つまり、初来日のように2部構成になっていたものの、 渋すぎる選曲で思いっきり盛り下がることもなく、2度目の時のように平凡なロック・ショウに終わってしまうということもなく、 ・・・・演奏や曲順にもう少し工夫があれば、もっと楽しめたのではないでしょうか?

所詮は初日だったので、リハ不足は否めませんでした。ここ一番という聞かせどころで、アンサンブルが乱れてしまったり、フェイゲンの歌が曲に追いつかなくなって、歌詞が飛んでしまったり。なんとなく歌詞の順番が違っていた気もしました。そういうレベルになると自信がないのですが、”PEG”は1番と2番がごちゃ混ぜだったと思います。

そもそもレコード(CDというべきか?)の演奏を、ライヴで忠実に再現してくれることを期待するのが間違いです。彼等の場合、これをやると確実に盛り下がってしまうことは、初来日で実証済みですから。(笑) ライヴならではの醍醐味もそれなりに味わえたので、合格点をあげましょう。

≪Steely Dan Personnel 2000≫

 Donald Fagen (vocals,keyboards)
 Walter Becker (guitar,vocals)
 Jon Herington (guitar)
 Ricky Lawson (drums)
 Tom Barney (bass)
 Ted Baker (keyboards)
 Cornelius Bumpus (sax)
 Ari Ambrose (sax)
 Jim Pugh (trombone)
 Michael Leonhart (trumpet,tambourine,synthesizer)
 Victoria Cave (chorus)
 Carolyn Leonhart (chorus)
 Cynthia Calhoun (chorus)

以下、いいも悪いも徒然なるままに、感想を綴ってみましょう。

曲目は、これから行かれる方のために、詳しくは触れませんが、アンコールはパターン化してしまってます。

“Black Friday”でのフェイゲンのヴォーカルは、回を追うごとにひどくなっている。あれならやらない方がいい。

レコードではキーボード・ソロだったものが、ほとんどギター・ソロに置き換えられていて、単調だった。

さらにジェフ・バクスターやジェイ・グレイドンの印象的なソロを、どう自分のスタイルで聞かせるかという重責まで負わされてしまったジョン・へリングトンのギターは、先人達とは違うアプローチを聞かせてくれて、好感が持てた。

リッキー・ローソンは、ホイットニー・ヒューストンからニール・ラーセンまで(=ポップからジャズまで)、様々な人たちのライヴをサポートしてきたドラマーです。まさにウッテツケの人選なはずが、バスドラの叩き過ぎで曲本来のグルーヴをぶち壊してしまったりと、いわゆるオカズが多すぎて、多少耳障りなこともありました。

後半の奔放なサックス・プレイが印象的なニュー・アルバムのラストの曲が、第一部のラストを飾ったのですが、アリ・アンブローズはアルバム以上に凄まじいソロを披露してくれました。彼は、日本公演のみの参加ということで、ちょっと得した気分になりました。

しかし、今回一番驚かされたのは、ファースト・アルバムでデイヴィッド・パーマーがリード・ヴォーカルを取っていた曲でしょうか。イントロですぐに曲がわかったので、「一体誰が歌うの?」と思いつつ、これはイントロだけで、別の曲に移るんだろうとタカを括っていたら、ちゃんとやっちゃいました。あの二人のどちらでもなく、女性コーラス3人組のひとり、キャロリン・レオンハートが、見事に大役を果たしました。

過去の盛り下がった経験からか、“Gaucho”や“Pretzel Logic”からは1曲もやらなかった気がします。

結局、よかったのかどうか、まだ自分の中で整理がついていません。なにしろ、Santanaの日本最終公演(4/28 日本武道館)に、ナントEric Claptonがゲスト出演したと聞いて、すごいショックで支離滅裂なレポートになってしまいました。すみませんでした。<(_ _)>