買ったばかりだったせいもあって、3月にこのアルバムを取り上げた際には、内容にまで言及していなかったことに気付きました。折しも2年振りの来日公演が決定したので、これを機会に全曲の感想をアップしておきます。

日本盤のジャケット英米盤のジャケット


Truth・・・・アルバムのオープニングに相応しいインパクトのある曲。コンピューター演奏を多用するのは、かなり昔から行なっていたとはいえ、ここまで来ると、もはやロックというよりは、完全にテクノの範疇。デジタル・ビートに負けないボーカルに、年齢を感じさせない力強さがあって驚き。ハワイの気候は喉にもイイのかな?

Sweet・・・・一般的なテクノ・アルバムだと1曲目の余韻を3曲目くらいまで引っ張るもんですが、サッサと打ち消してしまうところが如何にもToddらしい(笑)。マーヴィン・ゲイを意識したようなボーカル・スタイルが、打ち込みサウンドにソグワナイ感じがしないわけでもない。こういうのをテクノ・ソウルと呼ぶのだろうか?

Happy Anniversary・・・・けだるいAメロと畳掛けるようなサビの対比がユニークな曲。音の感触こそ今風だけど、70年代にも既にこんな感じの曲をやっていた気がします。あの頃のハチャメチャな展開を見せる曲に比べれば、構成はオーソドックスなポップ・ソングと同じで分りやすい。

Soul Brother・・・・イギリスにおける第一弾シングル。といっても、ラジオ局向けのプロモ・オンリーのようです。日本人が聞くと昭和40年代以前の歌謡曲をモチーフにしているように思うらしいけど、いくらToddが日本の音楽シーンにも精通しているとはいえ、手本にしたのはJames Brownだよネェ~。

Stood Up・・・・アルバム全体の第一印象が“No World Order”あたりに通じると感じたら、最大の要因はこの曲でしょう。だって、この曲のリズム・トラックのリフは、モロにあのアルバムに収録されている“Worldwide Epiphany”だもん!(笑)

Mammon・・・・グレゴリオ聖歌のハード・テクノ・バージョンみたいな曲。タイトルの意味が「富と物欲の神」の名だと分って、独りで勝手に納得してます(苦笑)。「お前の信じる神はマモンだろ!」と聞き手に迫ってきますが、私の場合はモチロンこう答えます~My God Is TODD!!(爆)

Future・・・・ここから5曲連続でアンビエント調の曲が続きます。PCで聞くときには、Windows Media Playerでいうところの「視覚エフェクト」、RealPlayerでいうところの「ビジュアライゼーション」を全画面表示にすると、Toddが一連の曲で意図した効果が体感できる・・・・かも?つまり、この曲は瞑想への序曲と言った位置付け・・・・かな?

Past・・・・早くも眠気を催した人に「目を覚ませ!」と優しく囁き掛ける曲(笑)。アルバムの序盤では上手く融合していなかった感じのテクノとR&Bが、ようやく溶け合ってきた印象のある、スペーシーでファンタジックなR&Bサウンドです。

Wondering・・・・前曲の雰囲気を継承しながら、聞き手を更なる深みへ誘う曲。躊躇している聞き手に「まだWonderingしてるの?」ってヤンワリと説得しているように解釈するのは間違っているかな?

Flaw・・・・タイトルは「きず、欠点」という意味から、人に対して「物事を台無しにするヤツ」とか「足手まとい」とかって言う意味に転用されるようです。トップリと瞑想に浸った頃合を見計らって、こういう曲を持ってくるなんて!(笑) Todd流AORというか、脱力系ポップスというか、・・・・歌詞の内容はともかく、結構耳触りが良くて気に入ってます。

Afterlife・・・・瞑想状態も最終段階になりますが、ここまで理性で感性の開放を頑なに拒んできてしまった人は、もうすっかり聞き飽きてしまって、CDを聞くの止めてしまおうかなんて思っていることでしょう。音の感触こそ違いますが、この一連のアンビエントな曲を聞いていると、アルバム“Healing”を想起しました。

Living・・・・さあ、充分に瞑想世界を満喫されましたでしょうか?目覚まし時計のようなイントロに導かれて、現実世界にLivingしている自分という存在に目覚める時です。オープニングの曲とは違って、何かとても肯定的なものを感じる曲です。

God Said・・・・タイトル通りGodのお告げをToddが伝える曲です(笑)。テクノ・サウンドはとかく冷たい無機質な印象を与えがちですが、この曲には慈愛の温もりみたいなものがあります。クリスチャンだったら神の御加護と解釈するんだろうなぁ。モー娘。ファンなら~~~~(爆)。

Liar・・・・冒頭の曲とは正反対の意味ですが、主旨は同じようです。インド・東南アジア系(多分、ヒンズー教文化圏)のサウンドをここまであからさまに取り入れたのは初めてかも?欧米諸国だけでなく、世界中に蔓延る欺瞞に対する憤りを全て引き受けたようなパワフルな歌唱です。

ほとんどの曲が一単語のタイトル。愛用のマックに制作中の楽曲を保存するときのファイル名が、そのまま曲名になったんでしょうね。昔は半角スペースがファイル名に使えなかった。そんな頃からコンピュータを音楽制作に導入していた名残=クセなんじゃないでしょうか?(笑)

ちなみに、日本盤と英米盤はジャケットも違いますが、中身もチョット違います。曲順は同じですが、英米盤は曲間無く全部繋がっています。PCに取り込むと、曲の頭や終わりが聞き苦しい箇所があって、ハッキリ言って迷惑してます。