LIVE AT GLORIA CHAPEL-The Great American Songbook-決算~事務所移転と慌しかった日々も、ようやく収束に向かい始めました。まだまだ慢性的な業務遅延状態から脱却できたわけではないので、今日も出勤するつもりでしたが、過労・心労からと思われる体調不良で断念しました。何とか6月中には態勢を整えて、音楽ウェブロッジの方にももう少し時間が割けるようにしたいと考えております。

そんな心身ともに疲れた時には、こういう音楽はホント沁みます。「癒し系」が卑しい商売のキーワードになってしまった昨今、私は彼女の音楽を勝手に「和み系」と称しておりますが、音楽に癒されることをこれほどまでに実感したことはありませんでした。そのくらい疲れているのだと思います。

畠山美由紀はインディ・シーンでメジャーな活躍を続けるアーティストです。既に10年以上のキャリアがありますが、様々なアーティストとのコラボレーションを経て、ソロ活動を始めたのは比較的最近のようです。彼女のキャリアで今のところ一番脚光を浴びたのは、同じくインディ・シーンで活躍するギタリスト小島大介と組んだPort of Notesでしょう。2001年・2002年と2年連続でPOLA化粧品のCMに彼等の曲が起用されて、俄然知名度が上がったからです。

私がPort of Notesと出会ったのは、その1年前のこと。ディスクユニオンが新店オープン記念に制作した非売品のコンピCDに彼等の曲も収録されていたのです。当初は新店でインディのCDなりレコードなりを買わないともらえなかったのですが、キャンペーン終了後の残り物がレジ脇に「ご自由にお持ち下さい」と山積みしてあったので、1枚頂戴した次第です。

それまでは日本のインディ・ミュージック・シーンといえばパンクとテクノしか思いつかなかったので、こんな癒し系の音楽もあるのかと新鮮な驚きがありました。しかし、Port of Notesの音楽に強く興味を持つようになったのは、やはり例のCMがきっかけした。

さて、本作は2002年9月リリースのカバー曲集“Fragile”の、謂わばライブ版。2003年11月28日にキリスト品川教会グローリアチャペルで行なわれたスペシャルライブを収録したもので、ソロとしては4作目のアルバムになります。内容的には前述のカバー・アルバムとは一切ダブリ無しの選曲で、サブタイトルが象徴するようにアメリカを代表するような名曲ばかりを取り上げています。ちょっとベタな選曲ですが、畠山美由紀の包容力のある歌唱と、変化に富んでいながらも控え目な演奏が、楽曲本来の魅力を最大限に引き出しています。

CDにはフォトギャラリーも収録されていますが、どうせDVDをセットするなら、ライブを完全収録して欲しかったという気もします。残念ながら畠山美由紀の人気・知名度からすれば、10万枚単位のプレスが限界でしょうから、この程度でも3,800円という価格設定は止むを得ないのかもしれません。だからといって、変にメジャー・シーンへ進出せず、今のスタンスで音楽活動を続けて欲しいシンガーです。

・・・・と思っていたら、昨年10月にはPort of Notesとして3年振りのアルバムをリリースしていたそうです。迂闊でした。